ペット禁止なのに犬を飼っている住人…追い出すことはできる?
このような場合には、そのような犬を飼ったからといって直ちに賃貸借契約の解除が認められない可能性があります。
元々、ペット禁止特約の目的は、賃借人がペットを飼うことによって不衛生になったり、近隣住民に迷惑になったりすることで、賃貸人としても不利益を被るので、このような賃貸人の不利益を防止する点にあります。
したがって、先ほどのような事情がある場合には、ペット禁止特約の目的を害する程度が小さいので、信頼関係を破壊するおそれがあるとまでは認められない可能性があるのです。
■場合によっては賃借人の主張に備えて弁護士に相談を
「信頼関係を破壊するおそれがあると認めるに足りない特段の事情」については、それが存在することを賃借人が主張立証する必要がありますが、そのような事情を基礎付ける積極的事実とその評価を障害する消極的事実との総合評価によって決まるので、賃貸人としても信頼関係が破壊されたという事情を主張できるよう準備する必要があります。
迷惑な賃借人に部屋から出て行ってもらいたいオーナーさんとしては、弁護士に相談し、そのような事情をあらかじめ調査するのが良いでしょう。
*著者:宮前豪(丸の内ソレイユ法律事務所の弁護士。