2020年10月8日 17:23
ル・コルビュジエが嫉妬した女流インテリアデザイナーの生涯
立地や使い手の立場から建築を組み立てる手法は、ドキュメンタリー映画『建築と時間と妹島和世』で女流建築家の妹島和世が示したアプローチと同じ。また、建築、インテリア、家具を一体として考える点は、建築家の押野見邦英と同じである。
この「E.1027」はモダン建築・インテリアだと言うのはたやすいが、アイリーンいわく「意図と機能美のバランス感覚」に溢れている。
インテリアや建築の価値は、住む人への愛情次第
本作では、アイリーンとバドヴィッチが好意的に描かれるのとは対照的に、コルビュジエ同様、シャルロット・ペリアンは野心的な人物として描かれる。彼女は、アイリーン・グレイの若き後継者としてル・コルビュジエ期待の星であり、同時にバドヴィッチの浮気相手として登場する。ただ実際にはペリアンはアイリーンを尊敬していたと言われ、そのルーツを辿り日本を訪れ、高島屋「民藝展」にみられるように日本のインテリアに重要な足跡を残した。
コルビュジエも、「形式なんて無意味で、大切なのは生き方だ」と言うアイリーンを最終的には認め、だからこそ「E.1027」に住んだ。作中にも、E.1027に興味のない富豪が「アジャスタブル・テーブル」
…