2020年12月6日 01:59
現代に響く、18世紀に生きる女性たちの禁断の愛の物語
『燃ゆる女の肖像』(C)Lilies Films.
カンヌでクイア・パルム賞と脚本賞に輝いた『燃ゆる女の肖像』
昨年の第72回カンヌ国際映画祭で『パラサイト 半地下の家族』とパルムドールを競い、受賞は譲ったものの同映画祭の脚本賞とクイア・パルム賞に輝いたセリーヌ・シアマ監督・脚本の『燃ゆる女の肖像』。タイトルを聞いて、ふと19世紀の詩人ネルヴァルの短編小説集「火の娘たち」を思い浮かべたが、この映画の舞台は18世紀。マリー・アントワネットがオーストリアからフランス王家に嫁いだ1770年、ブルターニュの小さな島での数日間の記憶の物語だ。
・世界中が絶賛! 『燃ゆる女の肖像』セリーヌ・シアマ監督インタビュー
ドレスの裾に炎がついた若い女性の肖像画は映画が始まってすぐ、無造作に現れる。絵についての説明はないが、観客は作者である画家のマリアンヌ(ノエミ・メルラン)とともに思い出をたどっていく。
女性画家と貴族の娘、2人の眼差しが交わるとき
1770年、マリアンヌはブルターニュの孤島に暮らす伯爵夫人(ヴァレリア・ゴリノ)から、娘で修道院から戻ったばかりのエロイーズ(アデル・エネル)の見合い用に肖像画を描くよう依頼される。
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