くらし情報『銃乱射事件を恐れ上映しない映画館も。格差や不寛容の現実映し出す問題作』

2019年10月4日 20:14

銃乱射事件を恐れ上映しない映画館も。格差や不寛容の現実映し出す問題作

アーサーが一方的に慕う父親の代替的存在である、成功した大人の男2人(トーマスとマーレイ)が象徴するものについても考えたくなる。

余裕のない社会で残酷に踏みにじられるアーサーを演じるホアキン・フェニックスは、心の優しさや要領の悪さゆえに見下され、底の底まで落ちていく男の孤独をひりつくようにリアルに突きつけてくる。やせ細った体にヒステリックな笑い声。可笑しくも楽しくもないのに止まらなくなる笑いの苦しさにもがき、それでも時折訪れる、ささやかだが嘘のように幸せな瞬間に慰められ、なんとか毎日をやり過ごしていく。「自分だけなのか、それとも世の中がだんだんおかしくなってきているのか?」と自らに問いかけながら。そして薄皮を剥がすように痛ましい現実が露わになっていく。

アーサーの自宅までの道に長い長い階段がある。予告編にも登場する、ジョーカーの姿になった彼が踊る場所だ。狂気はもちろんだが、それに勝る優雅さに目を奪われる。作中で彼が1人でダンスに興じる場面は鍵だ。何をしてもうまくいかない“残念”な男が肉体を鞭のようにしならせるたびに彼の中から何かが飛び散っていき、別の何かが増幅され、彼はジョーカーになっていく。

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