くらし情報『見えない恐怖に追い詰められ闘うヒロインを主役にした『透明人間』は現代社会の寓話か』

2020年7月10日 20:09

見えない恐怖に追い詰められ闘うヒロインを主役にした『透明人間』は現代社会の寓話か

の1本としてスタートした作品で、その時点ではジョニー・デップ主演と伝えられていたが、脚本家の降板に伴ってデップ主演もキャンセルとなり、新たに『ソウ』シリーズのリー・ワネル監督が脚本も手がけることになった。

『透明人間』は1933年以来、スピンオフも含めて多くの作品が作られてきた。自ら開発した薬品によって透明人間になった科学者が狂気に陥る物語だが、それをどの視点でどう描くかで、19世紀末に執筆された原作が現代人にリアルに響くストーリーになる。主役を透明人間ではなく、彼に狙われる女性に変えた発想は見事だ。ゴールデン・グローブ賞やエミー賞を受賞したTVシリーズ「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」のエリザベス・モスが、身の危険を訴えても周囲に理解されず、追いつめられていくヒロインを演じる。

緊迫感に満ちた脱出劇、そしてその後にどうなるのかはわかっている。それでも引きつけられる。ヒロインが、姿は見えない何かの気配に気づき、その正体について確信を得るまでがとにかく怖い。目に見える存在によって肉体的に傷つけられるよりも、生命が狙われるよりも、恐ろしいことがある。透明人間によって巧妙に孤立させられ、1人で闘うことを余儀なくされるセシリアがさらけ出す弱さと、決して諦めない強さが、荒唐無稽なはずの設定にリアリティをもたらし、寓意に満ちた社会派のメッセージを伝える。

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