神様でもない限り、どんなに独創的なデザインにも必ず、モチーフの元となったヒントが存在する。そのヒントを神懸かり的に飛躍させるところが天才のなせる業なのだ。
何世代にもわたって愛されているヒーローも例外ではない。怪獣や怪人などは、動物や昆虫がモチーフになることが多いが、人智を超えた存在であるヒーローとなると、具象性が弱く、デザイナーとしても悩みどころだろう。
例えば『ウルトラマン』。世界で初めて“怪獣と戦う巨大宇宙人”という難題を課せられたデザイナーの成田亨氏の心境はいかがなものだったか。
ウルトラマンのデザインをするにあたって成田氏がよりどころにしたのが、当時、唯一宇宙人とコンタクトを取っていたといわれているアメリカのアマチュア天文学者、ジョージ・アダムスキー氏だったのではないか。
アダムスキー氏が会ったという金星人は、つなぎ目のない、体にフィットした服を着ており、男性と女性の区別がはっきりしない中性的な生物だったという。そして、まばゆいばかりの銀色の円盤内部のイメージ。それらが成田氏の脳内で発酵し、あの神秘的なデザインを生んだのかもしれない。
『スペクトルマン』のモチーフもちょっと変わっている。
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