くらし情報『Eテレアニメも好調『おしりたんてい』実は王道、子供の心を掴むヒットの法則』

Eテレアニメも好調『おしりたんてい』実は王道、子供の心を掴むヒットの法則

2018年7月14日 08:40
 

アニメ版『おしりたんてい』を手掛けた東映アニメーション・鷲尾天氏 (C)oricon ME inc.

アニメ版『おしりたんてい』を手掛けた東映アニメーション・鷲尾天氏 (C)oricon ME inc.


2012年の発刊以来、人気を博している児童書『おしりたんてい』。今年5月にはNHK Eテレでアニメ化され、7月14日より7週連続で新作が放送される。主人公である“おしり型の顔を持つ紳士的な探偵”は、ビジュアルから絶大なインパクト。必殺技が“おなら”だったり、ライバルの頭が“うんこ”の形をしていたりと、子どもが喜ぶ鉄板ネタと王道ストーリー隠されたヒットの法則とは?原作もアニメも好調な同作、アニメ版を手がけた東映アニメーションの鷲尾 天氏、浅間陽介氏に人気の秘密を聞いた。

■おしりたんていの“ほっぺ”を揺らしたい! 制作&声優も実績誇る豪華な布陣

今回、アニメ制作に携わった東映アニメーションの鷲尾天氏は、初代『プリキュア』シリーズをはじめ、『キン肉マンII世』や『金田一少年の事件簿』といった数々の人気作を手掛けてきた。そんな鷲尾氏が『おしりたんてい』に出会ったのは2015年の秋頃。「初めて書店で絵本を見かけたとき、まずビジュアルのインパクトの大きさに目をひかれました。読んでみると、クイズ形式で進みながら謎解きをする推理物で、きちんとストーリーがある。これをアニメにできたらと思ったのが最初でした。『アニメの世界でおしりたんていの“ほっぺ”を揺らしてみたい!』と」。

その後、2016年の秋頃にNHK Eテレでのアニメ化が決定。アニメ化するにあたって大事にしたのは、子どもが絵本を読むのと同じように楽しめるアニメにすることだった。「絵本にある間違い探しや迷路のようなクイズ形式の部分を、アニメでどう見せていくか、相当打ち合わせを重ねました。途中に挟み込むのはストーリーを止めてしまうことにもなるので、いいのか悩みましたが、きちんと見せられたら子どもたちも一生懸命やってくれるのではないかと思ったんです。トロル氏にも『子どもが楽しい映像を作ってほしいので、ぜひやってください』と言って頂きました」(鷲尾氏)。

クイズ部分だけでなく、登場するキャラクターやストーリーも原作に忠実に制作。原作ファンも納得する仕上がりで、絵本と同じ世界観を楽しんでもらうことに成功している。「もちろん、アニメらしい演出を加えている部分もあります。例えば、犯人をつかまえるクライマックスのシーン。おしりたんていがキメ台詞を言いながら大見得を切る場面は、アニメーションとしてとても大切なので、オーバーアクションでしっかり見せるようにしています」(鷲尾氏)。

出演する声優たちも豪華な布陣が揃う。「おしりたんてい」役には、『交響詩篇エウレカセブン』『Yes!プリキュア5』を代表作に持つ三瓶由布子。助手の「ブラウン」役は、『ジュエルペット』のルビーや『魔法つかいプリキュア!』のモフルンを務めた斎藤彩夏、おしりたんていの宿敵・「怪盗U」は『おそ松さん』のおそ松役で人気の櫻井孝弘らが担当。

そして「マルチーズ署長」役とナレーションは、俳優の渡辺いっけいが演じる。「ナレーションはぜひ味のある役者さんにやっていただきたいと思い、いっけいさんにお願いしました。その後、『もしかしたらマルチーズ署長も似合うかもしれない』とお願いしたところ、快くお引き受け頂くことができました」(鷲尾氏)

■王道のストーリー展開とギャップ、ヒットへ導く必殺技とキメ台詞

同作は、探偵が推理をしながら犯人を捕まえるという王道のストーリー。さらにおしりたんていは、犯人を捕まえる際の鉄板を持つ。必ず「失礼こかせていただきます」と言った後、おならをして犯人を気絶させるのだ。「必殺技とキメ台詞はものすごく大事なんです。60年アニメを作っていますが、これがある作品がずっと残っています」(鷲尾氏)。

また、おしりたんていが持つ「ギャップ」も、ヒット要因のひとつであると鷲尾氏は言う。「本格的な推理小説でありながら、主人公の顔が“おしり”に似ているというギャップ。これが子どもにとってすごくいい。またもうひとつ、彼が“紳士”であるということも挙げられます。言葉遣いは必ず「ですます調」で、決して悪い言葉は使わない。紳士ですから、必ず「失礼こかせていただきます」ときちんと断ってから必殺技を使うんです。子どもがマネしたくなるフレーズでありながら、それが悪い言葉ではないのは非常にいいことだと思いますね」

■dボタンを活用、今の技術だからできる参加型アニメーション

アニメに登場する間違い探しに、TVのリモコンを使って参加できる仕掛けがあるのも今作の特徴だ。「他の作品を映画館で上映した際、“ペンライトを振って応援できる”という試みをしたことがあったんです。そこで子どもは、参加型が好きなんだということを実感していたので、テレビでも実現できるのではないかと考えました」(鷲尾氏)。これがdボタンの使い方に長けているEテレとうまくマッチし、今の時代だからこそできた試みになった。

ブラウン管テレビの時代は、間違い探しをするのは難しかった部分がありました。dボタンなら、間違い探しも参加して、最後にどれぐらい当たっていたかという答え合わせもすることができる。ストーリーのおもしろさとゲーム性が核となり、視聴後の満足感も高まるのではないでしょうか。また、自分が助手であるブラウンの立場になって、おしりたんていと“一緒に”推理をできる喜びを実感できることがアニメならではだと思います」(浅間氏)。

実際に5月のアニメ放送後の反響は大きく、それに伴って書籍の売り上げも大幅にアップ。子どもが繰り返し見ているという報告や、SNSで母親がおしりたんていのユニークなキャラ弁をアップするなど注目を集めている。当初想定していた視聴層は小学校低学年だったが、幼児から親世代まで幅広い層へも人気が広がっているようだ。

(取材・文/辻内史佳)

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