『海に眠るダイヤモンド』端島シーンはどこで撮影? ロケハンチームの“影の努力”に迫る
そのため美術部が作ったセットに加え、端島に見える場所を探して撮影している。塚原あゆ子監督からロケハンチームへのリクエストは、とにかく端島に見える場所を探してほしいという一点のみ。「これがシンプルで一番難しい。端島は狭い面積に鉄筋コンクリート造高層マンションが立ち並ぶ“緑なき孤島”という、とても特殊な場所なので、裏方としてはとても挑戦的な企画でした」と大藏氏が本作で与えられた大きな課題を明かす。
以前掲載した、脚本・野木亜紀子氏と塚原監督のインタビューでは、「美術部が台本の柱書きを読んでどこで撮るか悩んでいた」という裏話もあった。大藏氏にそのときの胸の内を聞くと、「ロケハン担当としても、こんなところ現代にはないだろうな…という思いでした(笑)。でも、『こうすればなんとか成立するだろう』と、監督や美術部とアイデアを出し合いながら進めていきました」と、制作当初を振り返ってくれた。
“存在し得ない場所を探す”という前代未聞のロケハンが始まったのはクランクインの約4ヶ月前。
関東近郊に1950年代の時代観を表現できる場所は少なく、地方まで視察に行く必要があるとわかっていたため通常よりも早めに動き出したそうだ。