【開催中】『21世紀の美術 タグチ・アートコレクション展 アンディ・ウォーホルから奈良美智まで』【MiLuLu】
続く、21世紀もその概念は拡張し続けています。
身体・アイデンティティ・物語 ー何故、私は私であるのか?ー
左)ガーナ系イギリス人のリネット・ヤドム=ボアキエは、黒人のモデルにして描く画家として知られています。
描かれる人物には実在のモデルがいるわけではなく、自身の記憶をもとに思考のおもむくままに制作しているそうです。
右)セバスチャン・ディアズ・モラレスの映像は、主人公が扉を通り抜けて別の空間へと移るシーンをループさせ、
迷宮にいるかのような幻想的なストーリーを感じさせます。
「美術とは何か?」という問いが続けられている一方で、作品から意味を切り離すことができないと考え、作家の内発的なものを強調する場合もあります。
このことは、人間の身体そのものや個人のアイデンティティーをテーマにした作品に特徴的にあらわれています。
身体は個人にとって逃れようのないものですが、同時に鑑賞者が個人の意志に関わりなく、社会的に価値づけてしまうものです。作家たちは、自身をたらしめている要点となる身体そのものや、民族やジェンダーといったアイデンティティーの構成要素を、人間の存在に関わる問題として捉えています。