Musée Yves Saint Laurent - イヴ・サンローラン美術館 -【Nahoのおパリ文化回覧帳 vol.7】
彼の遺した空気を感じる《Le studio》
そして、美術館2階の一番奥には、《Le studio》というサンローランのデザインスタジオがそのまま再現されています。
このスタジオを見て最初に感じたのは、意外にもナチュラルな雰囲気であったこと。
そこに彼は居ませんが、とても穏やかな空気が流れている気がしました。
大量の資料が本棚に並べられ、彼のデスクの上には、彼の愛した小物類がきちんと並び、壁には交流のあったアーティストや女優、愛犬の写真が飾られていました。それは、モードの帝王と呼ばれた偉大な人物に対して、どこか親しみを感じてしまう雰囲気でもありました。
創造する為に一番多くの時間を過ごしたであろう書斎机やその周辺スペースに、自分が美しいと思うもの・好きなもので埋めるという行為は、私が思うに、愛するもの一つ一つに対する尊敬の表れであり、心の支えであったように感じるのです。また、彼の心を奪うインスピレーションの源が、彼の才能のフィルターを通すことで、また新たな美となって生まれ変わり、時を越え、繋がっていったのだなあと思ったのであります。