逆も然り。2人の人物を撮るときにその間にあるものを撮るということを大切にした。実際、120ほどのシーンの中で2人のシーンは5シーンくらいしかないんですが、観た後に『そんなに少なかった?』と思ってもらえると思います」と自信をのぞかせた。
映画ならではの表現を実現するために、撮影では俳優を追い込んだ。ムッタが子供の頃にヒビトと訪れた原っぱに再び足を運ぶシーンでは、夜中の12時に撮影を開始してテイクを繰り返すうちに「気が付いたら陽が昇っていた」という。一方で「僕自身、頭の中に明確な正解を持ってるわけでもないんです」とも言う。「僕も一緒に迷ってるんですよね(苦笑)。あの原っぱでムッタが『おれは宇宙に行きたい』という内なる思いをセリフで口に出したら台無しになる。
彼の中には僕も説明できないいろんな要素が詰まってるはずなんです。『小栗ならもっと行ける。ここで行ければこの先のムッタはもう一段高いところで作っていけるはず』と限界まで粘りましたが、そうやってムッタを一緒に探した過程がその後のシーンでも絶対に活かされていると思います」。もう一人の主演・岡田に関しては「小栗旬を軸としたときに今、その小栗を本気で嫉妬させられるのは岡田将生」