「僕の演出はシンプル。カメラの後にたって、役者を見つめるだけ。すると役者は自然とすべてを僕に差し出してくれるんだ。今回のレベッカとリチャードも作品にすべてを捧げてくれたよ」
一方、結果的にふたりの愛の大きな障害となるシャーロットの夫ホフマイスターを演じたアラン・リックマンも忘れがたい印象を残す。「気難しい役者という噂があるけど、なぜそう言われるのかわからない。役に全身全霊を注いでくれ、こちらの要望を聞くと瞬時にそれを表現してた。彼の演技が今回の作品に重みを与えてくれたことは間違いない」
監督デビューして40年がたった今も創作意欲は衰えていない。今後も我々の胸を焦がすような恋愛映画を作り続けていってくれそうだ。
「恋している男女の姿を描くことこそ僕は映画的と思うんだ。また、『髪結いの亭主』が完成したとき、ある著名な監督を試写会に招待した。すると試写後に彼が涙を流していてね。理由を聞くと“この映画を見て、僕の妻への愛がまだまだ足りないことに気づいた”とのこと。この言葉は今でも僕の心の大きな支えで、今も恋愛映画を作り続ける自信になっている。今後もいろいろな愛の形を描きたいと思っているよ」
『暮れ逢い』
12月20日よりシネスイッチ銀座にて公開
取材・文・写真:水上賢治
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