第37回PFF(ぴあフィルムフェスティバル)が開催中の東京国立近代美術館フィルムセンターで9月13日、美術監督の種田陽平氏と周防正行監督がPFF講座シリーズ『映画のコツ 21世紀から観る小津安二郎の映画と空間』と題したトークイベントを行った。
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この日、上映されたのは小津監督が唯一東宝に招かれ、オール東宝スタッフで撮ったアグファカラーの美しいオールスター映画『小早川家の秋』。京都にある造り酒屋“小早川”を舞台に、小早川家にかかわる人々の悲喜こもごもを描く本作について「小津さんが得意な暖色系を抑えて、大人の色合い。窓の外の造り酒屋の凝りようがすごい」(種田氏)、「遺作の一本前だからなのか、しっとりとした落ち着きがある。この映画を観て、改めて小津監督は画家なんだと思う」(周防監督)と語った。
学生時代から熱心な小津ファンだったふたりの出会いは、今から30年前。低予算のピンク映画にもかかわらず大きな話題を呼んだ周防監督の『変態家族 兄貴の嫁さん』(1984年)で、種田氏が美術を手がけて以来、親交が続いている。小津映画にオマージュを捧げた作品としても知られており、周防監督は「デビュー作だから一番好きなことをやりたくって、小津安二郎を徹底研究した。