キャロルは映像の中盤で「自分がわかってる?」と質問されるが「わかっていない」と即答する。しかし、映像の後半では「心に従って生きなければ人生は無意味」だと宣言する。本作は、キャロルとテレーズが出会い、それぞれが変化し、自身にとって本当に必要なものを見出していく過程を描いていくようだ。
また、1950年代のニューヨークを描いた映像にも注目だ。本作を手がけたトッド・ヘインズ監督はかつて『エデンより彼方に』で、ダグラス・サーク作品のような美しい1950年代を描いたが、本作では16ミリフィルムを駆使して、陰影のある生々しい映像を追求。予告編でも少し粒子が粗く、淡い色とにじみが印象的な映像を堪能できる。
本作はゴールデン・グローブ賞や米アカデミー賞の有力候補という声も多く、今後、本作の名前を目にする機会はさらに増えそうだ。
『キャロル』
2016年2月11日(木・祝)全国公開
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