戦後日本が復興、高度経済成長を遂げていく陰で、差別や故郷を離れた寂しさの中、たくましく生きる在日コリアンたちを描いた鄭義信の三部作が新国立劇場にて一挙再演される。第1弾として、万博開催前後の関西で、焼肉屋を営む一家の悲哀をつづった『焼肉ドラゴン』が3月7日(月)に開幕する。初日まで3週間を切った稽古場は日韓の俳優たちの熱気に包まれていた――。
舞台『焼肉ドラゴン』チケット情報
稽古場には本番と同じセットが組まれているが、細部に至るまでリアリティが追求されており圧巻!錆びかけた看板、シミで汚れた壁、手前の道は見るからに水はけが悪そうで泥っぽく、湿気やドブ川のニオイまで伝わってきそう。精緻に作りこまれているが、リアルであるがゆえになおさらもの哀しい…。
アボジ(=父)役のハ・ソングァン、オモニ(=母)を演じるナム・ミジョンをはじめ、キャストの約3分の1が韓国人俳優であり、通訳を介して日本語、韓国語が飛び交う。ちなみに自ら演出を務める鄭は、韓国人俳優であろうと一切の容赦なく、日本語のセリフの言い回しや間について細かく指導をし、何度も同じシーンを繰り返す。これこそ、俳優たちが制作会見時から口にしていた鄭の「しつこく粘着質の演出」