なので、舞台を一つの箱と見立てて太鼓を設置したり、小道具を使ったり。おそらく皆さんは“こんなことやるの?”と思われるかも」。これにも山下がピアノで絡む。
「山下さんは一番長い付き合いの演奏家です」と林。「大船に乗ったような気持ちにさせてくれる方で、こちらがどんな形で出ても受けてくださる。楽しいですよ。即興演奏の展開の中で、おもしろがってくださっている感じがあって、すごくうれしいですね」。和太鼓とジャズピアノ、各界の巨人によるデュオは異種格闘技的なおもしろさ。
中でも『ボレロ』は秀逸だ。彼らの演奏が劇場の空気を震わせ、観客へと響かせる高揚感を体感してほしい。
第2部は“英哲風雲の会”を率いての太鼓アンサンブル2作品を披露。5月に東京で初演した新曲『天の跫音(あしおと)』が関西に初登場。そして『七星』。昨年は林の休演で“風雲の会”だけの演奏だった。今回は林を含む7人バージョンで贈る。「みなさんに大変好評をいただいている曲で、大太鼓がこれだけ並んで、とどろかせる曲は他に類例がないものです。
正月公演、今年も頑張るぞという感じでやりたいと思います」。今年リリースしたアルバムには、高橋洋子の依頼で手掛けたエヴァンゲリオンのテーマ曲“残酷な天使のテーゼ”の太鼓演奏バージョンも収録。