(c)松竹株式会社
歌舞伎座新開場十周年「七月大歌舞伎」は、昼の部(11時開演)が『菊宴月白浪(きくのえんつきのしらなみ)』。鶴屋南北が『仮名手本忠臣蔵』の“後日譚”を描いた奇想天外なストーリーだ。夜の部(16時開演)は、渡し守の娘・お舟が愛しい人を命がけで守ろうとする『神霊矢口渡』と、鳶と力士たちが火花を散らす『神明恵和合取組 め組の喧嘩』。最後は華やかな舞踊が楽しめる『鎌倉八幡宮静の法楽舞』の3演目。昼夜共に歌舞伎の多彩なエンタメ性を存分に味わえる。
『菊宴月白浪』は“忠臣蔵”では憎まれ役ながら、黒紋付でおなじみの“人気キャラ”でもある斧定九郎が主人公。本作では亡君・塩谷のお家再興を目指す忠義者として描かれる一方、盗賊の暁星五郎と名乗って忍術を使い、両宙乗りや大屋根での立廻りなどスペクタクル要素も満載で贈る。
花道から登場した斧定九郎役の市川中車は、黒紋付もスッキリと決まり、いかにも定九郎らしい佇まい。
忠義の心を抑えた演技で表現したほか、大凧に乗って花道から飛び去り、すぐに3階後方から本舞台へ舞い降りる「両宙乗り」をケレン味たっぷりに魅せ、客席は大盛り上がり。金笄のおかる役の中村壱太郎、与五郎役の中村歌之助との「大屋根の立廻り」