眞島秀和が挑む『My Boy Jack』、戦地に息子を送った父親の苦悩
撮影:石阪大輔
「ジャングル・ブック」で知られるノーベル文学賞作家のラドヤード・キプリングが、第一次世界大戦中に書いた詩を名優デイヴィッド・ヘイグが戯曲化し、舞台化、さらに映像化もされた『My Boy Jack』が上村聡史の演出で上演される。一家の厳格な父であり、近視ゆえに軍に入隊できない息子を人脈を使ってねじ込むラドヤードを眞島秀和が演じる。
健康な肉体を持つ者は戦地に行くべしという理想を掲げ、妻や姉の反対を振り切り、誇りを持って息子のジョン(ジャック)を戦地へと送り出すラドヤード。だが、西部戦線へと出征したジョンは戦地で消息不明となり…。
ラドヤードについて眞島は「最初に台本を読んだ時は、相当な“堅物(かたぶつ)”という印象だったんですが、映画を観たら、愛国心があり、家の名誉も重んじるんだけど、父として息子への愛情を持っている人物であり、時代が彼にそうさせた部分があるのかなと感じました」と語る。
ラドヤードが戦争中にしたためた『My Boy Jack』という詩は、声高に戦争が悪いと言うでもなく、「息子を返せ」と叫ぶでもなく、荒れ狂う時代の中で、なすすべもなくいる者のやり場のない憤りや嘆きがつづられる。