まもなく開幕。藤田俊太郎が放つ『東京ローズ』日本初演
撮影:宮川舞子
新国立劇場ではいま、『東京ローズ』の稽古が進行中だ。小川絵梨子演劇芸術監督が打ち出したフルオーディション企画、その第6弾にして初のミュージカルである。稽古場には936名の応募者の中から選ばれた6人の俳優たち──飯野めぐみ、シルビア・グラブ、鈴木瑛美子、原田真絢、森加織、山本咲希の姿。冒頭のナンバー「ハローアメリカ」を力強く歌う彼女たちは、キャリアも個性も様々だ。が、彼女たち全員が向き合っているのは、アイバ・トグリ(戸栗郁子)という一人の女性。日本軍が第二次世界大戦中に行った連合国側向けプロパガンダ放送に携わった女性アナウンサー、「東京ローズ」の一人として名乗り出た唯一の人物だという。
女性を中心としたメンバーによる英国の演劇集団BURNT LEMON THEATREが、2019年にエディンバラで初演、注目された本作。日本初上陸となる今回の舞台は、小川芸術監督自らが翻訳、気鋭の藤田俊太郎が新たに演出を手がけると話題に。
しかも、もともと一人の俳優が演じたヒロインを、6人の俳優たちがリレー形式で演じていくという藤田のアイデアは実に挑戦的で魅力的だ。
「懺悔させろ!」という声が響く中、国家反逆罪の疑いで裁かれるアイバが姿を見せる。