明日を語れることが宝物!約3千人みとった医師が語る一日の重み
旅行や観劇といった楽しみの計画も、明日があると思えばこそ可能です。
「なんの疑いもなく『明日』を語ることができるのは、それだけで大変な宝物」と著者はいいます。それは、健康に生きる多くの人にとっても同じ。本書のタイトルにもなっている「今日が人生最後の日だと思って生きなさい」というメッセージは、同じ「一日」が受け取り方によって大きく変わることを端的に表した一言だといえます。
■「ただ丁寧に聴く」ことで救われる!
著者は、訪問医療では診察や検査、薬の処方だけでなく、心のケアが重要であるといいます。人生の最終段階を迎えた人が穏やかな気持ちで過ごすためには、身体の痛みと同じように心の苦しみや痛みを和らげることが欠かせないのです。
著者は、「苦しみは、希望と現実のギャップから生まれる」と考えます。やりたいことがあるのに残された時間が少ない、おいしいものを食べてあちこちを訪ねたいのに身体の自由が利かない。
そういったギャップが大きいほど、心の苦しみも大きくなるといいます。終末医療の現場で著者が心がけているのが「ただ、相手の話を丁寧に聴くこと」。先入観を持ったり、自分の意見や体験談を話したりせず、話を最後まで丁寧に聴くのです。