時間に追われる全ての人に知ってほしい「平凡な1日」の持つ重み
送り手の多くは30代、20代の若い世代。全体の8割ほどが女性です。「アナログからデジタルの過渡期に育った、手紙も経験しインターネットも使いこなせる世代が多く参加してくれている印象です」と楠本さん。
■100人いれば、100通りの幸せ
このプロジェクトを特徴的なものにしているのが、“水曜日”のできごとをしたため合う、という設定です。水曜日を選んだ理由は、プロジェクトのシンボルになっている小学校の廃校舎が海の“水”の上に立っていること、そして、週の真んなかであるということ。
「日常性を大切にしたかったんです。ともすれば思いだせないような1日に、あえて思いをはせてほしくて」。当初の思いをそう振り返った楠本さん。
プロジェクトの活動をまとめた書籍「赤崎水曜日郵便局」では、そのうち101通を読むことができます。給食に出たカップアイスの“お気に入りの食べ方”を教えてくれる8歳の女の子。
娘の恋人が結婚を申し込みに訪ねてきた1日を振り返る57歳の女性。仕事が休みで、娘を保育園に迎えに行った48歳の男性。何気ない日常がつづられた手紙ですが、読んでいると胸を突かれます。
「たとえば土曜、日曜なら特別なできごとを書いた手紙が多かったと思いますが、水曜日にしたことで、日常のできごとから自分の人生まで掘り下げて思考した手紙が多かった。