時間に追われる全ての人に知ってほしい「平凡な1日」の持つ重み
親しい人にはいいにくいけれど誰かに聞いてほしい悩みを抱えている方が、手紙を出すことで一歩前に踏み出すきっかけにできた、ということも聞きました。受け取った人も、100人いれば100通りの幸せのかたちがあると感じられたんじゃないかと思います」
あえて週のうち最も平凡な1日を見つめることで、自分自身とじかに向き合う機会になったのでは、と楠本さんは考えています。
■ゆるやかなつながりがもたらすもの
そしてもうひとつ、手紙という手段からも気づかされるものがあった、と楠本さん。
「赤崎水曜日郵便局は、きずなのあり方を問いかけているんじゃないかなという気がします。SNSで人と人が簡単に、密につながれる時代、赤崎水曜日郵便局のようなゆるやかなつながりだからこそ伝えられることもあるんじゃないか、と。
いまは、メッセージを送ってもすぐに返事が来なかったら『どうしたんだろう』と思うし、もらって返しそびれていると『早く返さなきゃ』と思いますよね。でも、昔はそうでもなかった。時代は本当に変わったけども、手紙のように、送ってから相手に届くまでの間にワンクッションあるということは、人間が思考する上で必要なことなんだな、と感じました」