くらし情報『美しい街と雨が容赦なく露わにする“若さ”の正体【レイニーデイ・イン・ニューヨーク】』

2020年7月4日 13:00

美しい街と雨が容赦なく露わにする“若さ”の正体【レイニーデイ・イン・ニューヨーク】

その繰り返しだった。本当は、男の目に映る自分なんて都合よく書き換えられたものでしかないのに、それにしがみつかなくてはならないほど、若い私は自分と向き合う方法を知らなかった。

それでも誰かの“特別”になりたくなるとき

時は流れて、私がギャツビーやアシュレーと同い年だった時からすでに15年近く経つ。それでもいまだについつい、自分の価値を見失いかけると、安易に自分の欲しい評価をくれるような都合の良い男の「特別」になって逃げたくなる。それは、アシュレーがインタビューする大人たちもそれぞれ、雨の中で自分の非力や無意味を実感して、彼女の言葉を都合よく取り入れて自分を取り戻そうとする姿に重なる。

映画監督は自分の作品に納得がいかず、脚本家は妻の不貞に心を乱し、スター俳優は自分に夢中な女を雑に扱って何かの満足を得ようとする。大人になっても何十億の人の中で自分を見失うのは常に簡単で、取り戻す時にロマンスを孕(はら)んだ異性の視線は実に都合がいい。

それを全て否定すれば、ロマンスは一気に色を失うけれど、ロマンスの間に落ちる自分をどうにか見捨てずに愛せるかどうかが、夢見がちな若さとの決別につながるのだと思う。

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