くらし情報『「とりあえず一本」から始まった…燃え殻さんが『すべて忘れてしまうから』を書くまで』

2020年7月7日 20:45

「とりあえず一本」から始まった…燃え殻さんが『すべて忘れてしまうから』を書くまで

そこにやってきたのが新型コロナウイルスだ。まず東京オリンピックがぶっ飛んだ。「大丈夫です!私がついてますから!」と言ってくれたTさんも先月、アッサリと担当を辞めてしまった。そして『7月24日発売日』だけが残った。

単行本作業が佳境を迎えている。70本の原稿から50本に絞るため、読み返していると、「とりあえず」の原稿を見せた恵比寿の喫茶店でのことをふと思い出した。Tさんに「忘れっぽいんで、忘れたくないことを書きました」と言ったあの時のことだ。Tさんは、「じゃあタイトルは何にしましょうか?」と聞いてきて、ウーンなんて考えてから当てずっぽで、『すべて忘れてしまうから』と提案してみた。「いいじゃんそれ」その場でエアーなオッケーが出た。

この2年間に大切な人が2人亡くなった。彼らとのやりとりも、連載に残っている。読み返した時に、そんなことあったかな?と薄情にも僕は何度か文章の中で立ち止まってしまった。もう話すことのない友人が、「今はお前のことをまだ許せない」と吐き捨てるように言ったのは、一年前の5月の出来事だ。結局彼は、僕のことを許さないまま逝ってしまった。慈恵医大病院で、管だらけになった後輩と話した細部も、今はうろ覚えでしか思い出せない。

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