くらし情報『『AV女優ちゃん』は、「遠い国の話」だと思いたかった物語だ【三宅香帆】』

2021年2月9日 20:45

『AV女優ちゃん』は、「遠い国の話」だと思いたかった物語だ【三宅香帆】

目次

・危険な世界を覗き見ようとしたら…
・「AV女優」に過度な主体性を見出したい私たち
・友達がいることがそもそも贅沢
・私たちは自分で思うより孤独に弱い
『AV女優ちゃん』は、「遠い国の話」だと思いたかった物語だ【三宅香帆】

2019年から「週刊SPA!」で連載中の『AV女優ちゃん』。2020年12月に単行本、第1巻が発売されました。本書は、漫画家の峰なゆかさんがAV女優として活動していた経験を元に、出演者側から見た業界の話や男女の生きづらさなどを描く、半自伝的漫画です。

「心が重くなるけどすごい漫画」だと話す、書評家の三宅香帆さんに寄稿していただきました。

危険な世界を覗き見ようとしたら…

『AV女優ちゃん』というタイトルだけ見たり、「昔AVに出ていた作者が描く、自伝的エッセイ漫画!」なんて概要だけ聞いたりすると、どんな過激な、遠い国の話なんだろう、と期待してしまう自分がどこかにいる。ある種、危険な世界を覗き見したいような気持ちで手を伸ばす。下世話な野次馬根性が働かないといえば嘘になる。

しかし読むと分かる。これは遠い国の話なんかじゃなくて、私が遠い国の話だと思いたかった物語だ。

本書は、『アラサーちゃん』の作者で、元AV女優の峰なゆかさんが、AV業界の裏話や自分の半生を振り返ったエピソードを中心に描くエッセイ漫画だ。

サイン会の様子を通してひとびとの弱者を虐げたい欲望を見出したり、自分がいた高校を描きつつ避妊の重要性を説く声が届かない同級生をすくいあげたりと、現実のエピソードから社会構造を描き出す手つきが特徴的である。

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