——では、内向型の人は無理して外向型になるのではなく、自分に元々備わっている性質を生かしたほうがいいということでしょうか?
榎本:そうですね。ただ、内向型が損するのは確かなんですよ。だから、隠れ内向になったほうがいいかもしれませんね。内向型そのままだと、社会的に不適応になって生きづらさを感じることも多いかもしれません。今は外向型の人が生きやすい社会なので、「隠れ内向になれ」と言うのは変な話なのですが、できそうであれば少し頑張ってみるのも良いのかもしれないですね。
——確かに自分を振り返ってみても、少し外向的になったほうが物事がうまくいくことが多い気がします。
榎本:前回もお話しした通り、日本は欧米と違って「人間関係の中で生きる」という文化です。哲学者の和辻哲郎さんは、「人間」という「人の間」を意味する言葉が「人」の意味で用いられるところに日本人の特徴を見い出していますが、日本人は個ではなく人の間を生きている。僕も、今まで関わった人が自分の中で生きていて、それで自分は成り立っていると感じています。
こうやってお話していても、自分が言いたいことをただ伝えるのではなく、目の前にいる人との対話の中で、相手が何を求めているか、どう感じているかを感じ取りながら、自分の出し方を決めている。
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