
シェイクスピア研究やフェミニスト批評などを専門とする研究者の北村紗衣(きたむら・さえ)さんによる新書『批評の教室─チョウのように読み、ハチのように書く』(筑摩書房)。
「批評」を学ぶ大学生のために書かれた本ですが、本や映画、演劇などの作品をより深く理解するためのポイントから実践的な批評の仕方まで、批評の初心者にも分かりやすい語り口で丁寧に解説されており、私たちが本や映画を楽しむためのヒントも満載です。
本を書いたきっかけや「批評」の必要性、作品を味わうときに意識したいことなど、北村さんにお話を伺いました。
北村紗衣さん
なぜ「批評の仕方」なのか?
——『批評の教室』を書いたきっかけを教えてください。
北村紗衣さん(以下、北村):『批評の教室』は、私が2018年に武蔵大学のゼミで行った内容がもとになっています。ゼミではひたすら映画批評だけをしていて、学生の満足度も高かったのですが、カリキュラムの関係で1年のみで終わってしまったんです。その後、筑摩書房の方から「フェミニズム批評の新書を書かないか」というお話をいただいたのですが、フェミニズム批評うんぬん以前に、そもそも大学1年生は批評ができませんし、本の読み方や映画の見方が分からない学生が多かったんです。
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