とにかく、話を聞きながら「それは性差別では?」「その発言は炎上しそうだからカットしよう」とついジャッジしてしまって。
清田:なるほど……。
安次富:自分が聞きたいように聞いているだけで、相手が本当に語りたいことを語らせていないんじゃないかって考えてしまうことがあるんです。清田さんも似たような瞬間がありませんか?特に本書のような取材では。雑念、湧いてきませんでしたか?
シャッターを閉じられてしまうかもという不安
清田:今回の企画って、男性たちにとってかなりのリスクがあると思うのね。身元がバレないように配慮しているとはいえ、かなりプライバシーに踏み込む企画だから。
安次富:確かに。どんなリスクを想定していましたか?
清田:当事者の男性たちを怒らせてしまう可能性もあるし、彼らが語った周辺の人を傷つけてしまうこともあり得るし……。事前準備や原稿確認を含め、慎重にコミュニケーションをとりながら進めてきた企画なので、基本的には「参加してくれただけでありがたい」という感謝が大きくて。
それから、かなり心の内側を話してもらうことになるから、安心して打ち明けてもらえるような空気を醸成することにも集中した。
…