
メディアで耳にする健康情報に関わるキーワードについて、京都大学大学院医学研究科社会健康医学の准教授で、精神科指導医・専門医の田近亜蘭(たぢか・あらん)医師に連載でお話しを聞いています。これまでの「第2回 エビデンスのレベル3〜レベル1って何? 誤った健康情報に振り回されないために 後編」に続き、今回から、「診療ガイドライン」という用語について前後編の連載でお尋ねします。
田近亜蘭医師
医師向きの診療法の手引書
——便秘、アレルギー性鼻炎、頭痛、うつ病など身近な症状のケア法を知りたくてネットで検索をしていると、「○○○診療ガイドライン」という言葉をよく見かけます。診療ガイドラインとはどういうものですか。
田近医師:医師や医療関係者向きに、医学会が作成した診療についての手引書のことです。日々の診療の重要なポイントについて、最新のエビデンス(科学的根拠。第1回・第2回参照)が各分野の専門医らによって示されています。
医師は日々の診療の中でさまざまな疑問、例えば、「うつ病が改善した後も抗うつ薬の服用は続けてもらった方がいいのか」といったことに遭遇します。これを「臨床疑問」、または「クリニカルクエスチョン」
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