2016年6月12日 15:20
100万人が飲んで踊って歌う スペイン・アンダルシアの巡礼
ロシオのこと
今でも、あれは夢だったのではないかと思うほど、めくるめく数日間を過ごしたことがあります。
場所はスペイン、アンダルシア。その旅を思い出すとき、頭によみがえるのは砂埃と汗、肌に刺さる太陽、群青色の夜空、ギターの音色と歌声、そして“水代わり”のビールとシェリー酒……。
2009年のちょうどこの時期、私は当時働いていた週刊誌の取材で、スペイン南部の“ロシオ巡礼”へ行っていました。ロシオ巡礼とは、一言でいうと、“スペイン版山車祭り”。ロシオ村の聖母ロシオが担ぎだされる夜がクライマックスですが、それを一目見るために、スペイン各地から(遠くはベルギーからも)“おらが村の山車”を担ぎながら、100万人以上がロシオ村を目指すのです。
人生も旅もゴールそのものより、向かっている道のりに面白みがありますが、この巡礼もみどころは旅。参加者たちは華やかなフラメンコ衣装に身を包み、長いチームは1週間から10日もかけて、馬や幌馬車に荷物を積み、徒歩で移動します。この時代に馬と幌馬車ですよ!
しかも巡礼とはいえ、そこはアンダルシア、完全にお祭りです。しんみり歩くわけがありません。
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