N田くん再び
初回に書いたN田くんの話が面白かったのでN田くんのことをまた少し書いてみようと思います。面白かったというのはそういう声が多かったとかの他薦ではなく、自薦です。
N田くんは出会った時から変わった人であった。当時通っていた芸大という場所は変わった人であることがヨソと比べてとてもウケたので、学内は変わった人で飽和状態となり、変わった人のデフレーションを起こしていたように見えたのは私だけではなかったと思う。
そんな中でN田くん「変わってい」さは頭一つ飛び抜けていた。どうって、なんというか、普通だったのである。であるって、久しぶりに書いた。
趣向を凝らしがちな、芸大生の部屋
初めての一人暮らしで全てが自分の選択のもとに生活をデザインできるってことに興奮しきっていた私は、ベッドカバーからシャワーカーテンから冷蔵庫から、とにかくこだわった。おばあちゃんちにおもむろに出向き、それまで気にもかけなかった、ゴミ同然の眠れるレトロ家財を山賊のようにかっさらっては自部屋にかつぎ込み、聴けないレコードを壁の鴨居に差し込みまくった。拾い物のテレビに白いペンキで色を塗った。そして古着屋と同じ匂いのするお香を焚いた。
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