不満を抱いて、民間会社に移った彼女は、1946年の冬の凍てつくように寒いある日、目覚めると自分が警察署にいることに気づきます。ストレスからアルコール中毒を患うようになった彼女は、深夜の3時に酔いつぶれ、警察に逮捕されていたのです。幸い、命は取り留めましたが、キャリアと友人関係を台なしにしかねない行為でした。
その後、うつも併発した彼女は、川に身を投げようとするなど、一時は大変危険な状態にありました。
COBOLの開発に成功
しかし、生粋の科学者だった彼女にとって何よりの薬はコンピュータの開発に打ち込むことでした。理解ある新しい職場で、アルコール中毒とうつから復帰すると、彼女は男性のエンジニアがそれまで気づかなかったコンピュータのある問題に取り組み始めます。
「機械語を使っている限り、特殊な訓練を受けた人間しかコンピュータを扱えない。もっとわかりやすい、人の言葉に近い言語が必要だわ」
しかし、彼女の考えは男性の同僚から冷笑を受けます。
彼女は当時のことを振り返って、こう語りました。
「私がコンパイラ*を走らせている間、誰も関わろうとはしなかった。皆、コンピュータは計算だけすればいいと思い込んでいたのね」
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