また、結婚相手の条件を考えすぎて、自分の欲望の着地点がわからなくなっている女性も多い。そんな人には、シングルファザーとの結婚を真剣に考えるきっかけになったと思う。ま、実際には、竹野内のようなルックスと優しさと寛大さと経済的余裕をもったシングルファザーなんて超レアなのだけど。そこはドラマだ。夢を見させてもらおうではないか。
ともかく、産まなくても産めなくても親になることはできるし、子供をきちんと育てることもできる。それを具現化したのが綾瀬の生きざまなのだ。
「母性」のオリジナリティと多様性
綾瀬は「義母としてのタスク」を自分なりに遂行していく。「家族だから仕方ない」「夫婦だからこんなもの」といった我慢も妥協もない。ただひたすらビジネスの論理で淡々と子育てをする。小学生の娘に対しても敬語を使い、見下しも見くびりもしない。真摯に取り組み、合理的に家庭運営を進める姿を見て、これもある種の「母性」だと思った。とかく母親は子供とつかず離れず、常に清く正しく美しく優しくあるべきだといろいろ背負わされている。「女らしく」「母親らしく」「ママコミュニティで嫌われないよう」、がんじがらめに縛られて、自分らしさを失ってしまう。
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