2018年12月5日 21:15
赤澤える:女子力とレモンサワーと日陰の隙間と…【ボクたちはみんな大人になれなかった】
み、口が乾く。ぎゅっと目を閉じ、息を吐ききった。
積み上げられた文字を追いながら、私は私自身が体験したことのある痛みと再会してしまった。私はこの小説にえぐり返されたのだ。読み進む中で幾度となく飲み込まれ、心臓の内がかきむしられ、その結果が両目からどっと氾濫した。
私はスマホをページに挟み、数分そのまま壁を見つめた。どうしてこんなことになっているかよくわからない。でも確実に、知っている感情がそこにあった。そしてそれが私の引き出しを勝手に開けっ放しにしたのだ。なんだよこれ、聞いてないよ、そう吐きながら目を冷やした。
深夜3:46
深夜3:46。私はまだ、冷えたベッドでこれを書いている。
この家は私が社会人になりたての頃にも暮らしていた。何をやっても失敗ばかりの高卒新米ボロ雑巾だったあの時、私はそれでも必死に日々を生き抜いていた。
私は引き続き、日陰の隙間にかろうじて生まれた細い日向、そこで今日も生きている。そして、手を広げればすぐ隣にある薄暗い場所、時々そちら側に行って背中を丸める。そこにはやはり、点線みたいな姿がある。
哀愁漂う彼の言葉には今日も人が群がり、その透けそうな姿にスポットライトを当てようとする。
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