山田:だから、値段言わんでええって(笑)。でも、身につけるものとか持ち物に対して、なんでもいいというわけではないですよね?
小島:そうですね。けれど、今よりも30代の頃のほうが「もう大人なんだから高いものを身につけなきゃ」という思い込みが強かったです。会社を辞めた時も、会社の肩書きが外れて自由になった反面、不安もあって。それを隠すために「いい時計とかしていないとまずいんじゃないか」と。
女の人生に現れる分かれ道
田中:小島さんとの対談では、そう感じる年代に男女の違いがあるのではないかと話しているんですよね。要するに、女性は30歳を過ぎた頃に、自分の足で立って生きることを問われる場面がくるのではないかと。
小島:女性の30代って急に、人生の分岐点がいくつも現れるんですよね。それまでは、同じように学校に通って、会社に入ってと、なんとなく同じコースを歩んでいるように思える。ところが、結婚する/しない、産む/産まない、仕事復帰する/しない、子どもの学校は公立にするか私立にするか、復帰するにも正規か非正規か……。分かれ道が多くなるので隣にいる女性のことを急に意識するんです。
山田:あの人はどうしているのかなぁ、と?
小島:そう。
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