対談の内容を抜粋し、4回に分けてお届けします。
声を上げるのはクレーマー?冷笑されるフシギ
上野千鶴子さん(以下、上野):社会運動への参加を勧める本のタイトルが『みんなの「わがまま」入門』だということに、深く衝撃を受けました。
富永京子さん(以下、富永):社会運動の意義を唱えても、「クレーマーじゃん」とか「わがままじゃん」みたいなことを言われるし、私自身もそう思ってないわけじゃないんですよね。社会運動に対する、ある種の“冷笑”教育のおかげかどうか分かりませんが。
そういう危機感から、社会運動の意義を、改めて訴えかける必要があるのではないかという気持ちがありました。
上野:そういうふうに空気が変わっちゃったんだね……というショックがある。その冷笑教育って、誰から受けましたか?
富永:誰からというのは難しいですね。
上野:親?
富永:親は大きいと思います。いわゆる「全共闘世代」の少し下ですから、あさま山荘事件の報道なども見ていて、それで社会運動に対する忌避感がすごくある。ただ、親だけではないし、もちろん学校の先生はどちらかというとリベラルな人が今でも多いかと思いますが、何でしょうね……難しいなあ。
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