2020年2月22日 13:00
「ルールを決めたら楽になれた」小川糸さんに聞く、自分にとっての“心地よさ”の見つけ方

小川糸(おがわ・いと)さんの小説『ライオンのおやつ』(ポプラ社)が累計発行部数12万部を突破しました。
余命を告げられた主人公が最期の時間を過ごす場所として瀬戸内のホスピスを選び、穏やかな島の景色の中で自分が本当にしたかったことに気付く——。
前編は、2020年本屋大賞にもノミネートされた同作に込めた思いについて伺いました。後編は、小川さんが仕事や日々の暮らしで決めているルールについて伺いました。
「こういうのもアリなんだ」ドイツ暮らしで気付いたこと
——前編で「(今の社会は)『こうしなければ幸せになれない』と恐怖心をあおられている」というお話がありました。数年間ドイツにお住まいだったと伺ったのですが、外国で暮らして気付いたことはありますか?
小川糸さん(以下、小川):日本は子供のときから教育も含めて「こうしなければいけない」が植え付けられていますよね。一つの価値観に絞られて、そこから抜け出すのってなかなか難しいと思うのですが、ドイツに行ったことで「こういう生き方もアリなんだ」と気付きました。
日々の小さなことですが、いろいろな自由を感じて、その人が心地よくて、他人に迷惑をかけていなければ、その範囲内で自由に振る舞う幅みたいなものがすごく広がった気がします。
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