2022年1月21日 10:00
カーボンニュートラル実現に向けて芝浦工業大学がCO2除去に優れた性能を発揮する膜の新合成方法を開発
■研究の背景
カーボンニュートラル実現に向けて、排出ガスや天然ガス中に含まれるCO2を除去する方法が世界中で研究され、その有効な手段のひとつが「二酸化炭素回収・貯留技術(CCS: Carbon dioxide Capture and Storage)」です。
CCSでは、CO2と他のガスを分離回収する手段の一つとして、膜分離法が用いられます。膜の選択透過性が、分離プロセスのコストに影響するため、分離膜の改良が求められます。近年、温室効果ガスであり、エネルギー源としてさまざまな産業で利用されているメタン(CH4)とCO2を分離する膜として、ゼオライト膜の一種としてCHA膜が注目されています。CHA膜は、8員環のシリコン(Si)を主成分とする結晶で、直径0.38nmの細孔をもっています。これは、CO2分子(0.33nm)を透過し、CH4分子(0.38nm)やその他の大きな分子を透過させないサイズです。
このCHA膜を合成するには、セラミック多孔質基材上に、CHAの微結晶を塗布し、CHA原料ゲル中で、これら結晶を成長させる二次成長法が最も一般的です。CHAゼオライト中のCO2の拡散は、CHA中にアルミニウムを含有しない状態が最も速いので、ピュアシリカCHA膜開発が求められます。