2019年4月1日 20:20
夏目漱石流の“色気”とは? 官能の世界に導かれる名作3冊!
男女の恋愛の深淵、奥ゆかしくも逞しい女性の美しさ、インモラルな官能の世界…。時代を超えて読み継がれる文学の名作には、今学ぶべき“色気”のエッセンスが詰まっている。
文学作品の色気は、知性の中にこそ漂う。
「色気の形はさまざまあると思いますが、文学に描かれる色気に漂っているものは“知性”。決してストレートな描写ではなく、美しい文体で綴られた表現のひとつひとつに、真の色気や美しさが宿るものなのです」(宇都宮大学教育学部教授・鈴木啓子さん)
文学に慣れ親しんでいない人でも手を出しやすい作品から、一見難解な文章で描かれた名著まで。それぞれの作家が描きたかった色気の正体を、象徴的な一文から感じ取って。
「現代に通じる感覚もあれば、その時代だからこそ感じられる色気もあり、違いを肌で感じてみるのも面白いはず。また、作品が描かれた時代背景や、作家自身の人生に思いを馳せて読んでみると、さらに味わい深く楽しめます」(書評家、ブックライター・石井千湖さん)
お二人に色気があふれる本を選んでもらいました。
画家の目を通して描かれる“色気論”。(鈴木さん選書)
『草枕』夏目漱石
「美しい見た目ながら、薄幸というアンバランスな魅力を持つ女性・那美は、戦争に行く従兄弟を見送る場面で、野武士のように落ちぶれた元夫に再会します。