天秤座生まれのあなたへ贈る詩「風吹く理由」【文月悠光 12星座の恋愛詩】
くちづければ
もみじの赤さに染まり、
深まる秋をきみは恥じらう。
ここを去れないことは弱さじゃない。
きみがちゃんと傷を包んで
大人になっていった証なのだ。
枯れゆくものが愛おしくて、
わたしはまた確かめるように
きみを揺らしてしまう。
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【プロフィール】
誌:文月悠光(ふづき・ゆみ)
詩人。1991年北海道生まれ。16歳で現代詩手帖賞を受賞。高校3年の時に発表した第1詩集『適切な世界の適切ならざる私』(思潮社)で、中原中也賞、丸山豊記念現代詩賞を最年少で受賞。
詩集に『屋根よりも深々と』(思潮社)、『わたしたちの猫』(ナナロク社)。近年は、エッセイ集『洗礼ダイアリー』(ポプラ社)、『臆病な詩人、街へ出る。』(立東舎)が若い世代を中心に話題に。NHK全国学校音楽コンクール課題曲の作詞、詩作の講座を開くなど広く活動中。
イラスト:コイズミリカ
イラストレーター。1989年生まれ。
2012年 東京工芸大学デザイン学科卒業。