2016年10月12日 10:15
鏡リュウジ×寺山マル×田波有希~タロット×漫画『サングリアル』座談会vol.4
と言うのですが、そこから彼女が性の対象としての女性に変容するってことは、アン自身が男の子として成長していくこと。つまり愛の形の変容そのものが、アンの成長ストーリーを物語ることになるのかなという気がします。
寺山:わー!その解釈、すごくうれしいです!
田波:うれしいですね。ところで話は戻りますが、タイトルにある「サングリアル」という言葉について、どこまで広げたらいいか悩んでいるんです。先ほど言ってた「聖杯」としての意味も持たせられたら面白いなと思うのですが。
鏡:聖杯って、シンボリックに言うと「かけがえのない自分のアイデンティティ」の象徴だから、この作品自体がある意味、聖杯探しの物語ですよね。それから、王というのは自分自身の元型、基本的な存在の在り様そのものの象徴なんです。
この作品の主人公は、実際に王を目指すわけですが、何者でもなかった若者が自分自身になっていくという意味では、あらゆる物語の雛形をたどってると言えますよね。
そういう意味でも『サングリアル』って深いなー。
寺山:本当ですか?
瀬尾:私たち、本当に血を吐くようにしてつくってるので、そう言っていただけると最高にうれしいです!
漫画、舞台…作品づくりはインプットが命
編集部:『サングリアル』は今までとは作風が違うというお話でしたが、この漫画を描くにあたって影響を受けた作品はありますか?
寺山:そうですね。