2018年8月18日 21:00|ウーマンエキサイト

夫婦崩壊「親離れ、子離れできない…」実家べったり妻が夫を放置するまで【リアル・モンスターワイフ、再び 第25回】

リアル・モンスターワイフ、再び

リアル・モンスターワイフ、再び

男女にまつわる数々のお悩みから、女性、とりわけ妻の中に“モンスター”を見出した「恋人・夫婦仲相談所」所長・三松真由美さん。その実態を明かした人気連載「モンスターワイフ」の続編「リアル・モンスターワイ…

夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。
夫婦崩壊「親離れ、子離れできない…」実家べったり妻が夫を放置するまで【リアル・モンスターワイフ、再び 第25回】

ⓒ one-stock.adobe.com


時代の変化にともない、家族のあり方も変わっていきます。

どのような形の家庭を築くかは、各夫婦の選択に委ねられるべき問題です。それぞれの夫婦が、カスタマイズした家庭を形作ってゆけばいいでしょう。

けれども、どんな家族の形を模索するにせよ、絶対に忘れてはならないことがあります。それは、夫婦は互いに協力するものであるということ。

「そんなの当然」と思うのは頭の中だけで、実際には非協力的な夫婦たちのトラブルがあふれています。友だちとのトラブルなら距離を置けばいい話ですが、夫婦間は距離を置くと冷え切ってしまいます。


結婚前や、結婚後しばらくの間は、夫婦間の協力が「当然」のこととして認識されているかもしれません。ところが、それから月日がたち、子どもも生まれて、家事に育児に忙殺されるようになったら…?

環境が変われば、「夫婦間の協力」という意識はすっ飛んでしまいます。

相互協力という夫婦関係の基本中の基本を忘れてしまった妻はモンスター化まっしぐら。そして夫婦仲は、破綻の一途をたどることに。

今回ご紹介するのは、そんな夫婦間で協力しようという姿勢を完全に忘れてしまったモンスターワイフです。

■「あんたなんか夫でも父親でもない!」妻の暴言が止まらない

「夫放置系モンスター 実家帰り」代表:あずさ(仮名)32歳の場合

あずさは、お気に入りのピンクのブランケットにくるまり、大好きなホットココアを飲みながら、海外ドラマに夢中になっていた。至福の時間。ところが…。


「…ただいま!」

息子を起こさないようにつけていたヘッドフォン越しに、突然耳に入ってきた雑音に振り返る。そこには、夫の大輝が不機嫌な顔で突っ立っていた。

「え、なに?」

あずさも負けず劣らず不機嫌な声で応える。

「ただいまって、何度言わせるんだよ」

あーあ、せっかくいいところだったのに。「ただいま」に対して、すぐ「おかえり」が返って来なかっただけですねるなんて、まるで子どもね。まだ3歳の息子・恵太のほうが、よっぽど物わかりがいい…。あずさは大きなため息をついた。

「腹減った。
メシは?」

「え? もう10時半よ。会社で食べて来たんじゃないの? 最近ずっと、会社で出前をとっていたじゃない」

まゆをひそめるあずさに、大輝の口調がますますイラ立ちを増す。

「食ってるヒマ、なかったんだよ。冷蔵庫に何かあるだろ?」

「ないわよ。お夕飯は恵太と実家で食べて来たんだもん」

「またかよ…。じゃあ、なにか簡単なものでいいから作っといてくれよ。先に風呂入ってくるから」

「お風呂わいてないわよ。私たち、実家で入ってきちゃったから。
恵太がおじいちゃんと入りたいって…」

「いい加減にしろよ!」

ついに大輝が怒鳴り声を上げた。

「家事もせず実家に入りびたって、俺から生活費だけ巻き上げて。おまえ、この家でまともに生活していないじゃないか。こんなの詐欺だよ、詐欺!」

「はぁ!?」

夫に怒鳴られても、あずさは一歩も引かなかった。夫の言い分が、彼女にはさっぱり理解できない

詐欺ってなに? 私は仕事ばかりの夫なんかに頼らず、実家のサポートを得て頑張っている。大輝は、給料がたいしたことないくせに家事を手伝うこともない。うちの実家のおかげで食費や生活必需品にかかるお金が浮いている。
夫は私と私の実家に感謝すべきなのだ。それなのに詐欺とはなんだ。許せない。

あずさは夫以上の剣幕(けんまく)で怒鳴り返した。

「詐欺はどっちよ!? ロクに家にいないあんたなんか夫でも父親でもないわ!

■夫を放置…「始まりは長めの“里帰り出産”」

あずさは、4歳年上の大輝と5年前に結婚した。

小さな出版社に務める夫の大輝は、常に忙しい。朝は早く、夜は遅い。休日出勤もしょっちゅうだ。


それでも結婚後、待望の第一子妊娠が分かった時、あずさは幸せでいっぱいだった。ところがその後、ひどいつわりにおそわれる。食べられないし、動けない。

そんな窮地を救ってくれたのが、実家の母。電車で1時間かかる距離を毎日通い、面倒を見てくれた。夫の出張中には、泊まり込んで世話を焼いてくれた時もある。

それ以降、つわりがおさまってからも、あずさはなにかと実家を頼るようになった。彼女の両親のほうも、一人娘が嫁いでからも自分たちと過ごしてくれることを喜んでいた。
そして、あずさは妊娠7カ月になる前に、里帰りすることを決めたのだ。

「ずいぶん早くないか?」

大輝の顔がくもった。

「もうすぐ繁忙期も終わるし、子どもが生まれる前にさ、少しはあずさと2人でゆっくり過ごそうと思って…」

「でも、健診とかは、ママに車で送ってもらって、付き添ってもらえるほうがラクなんだもん。ママとお医者さんと相談して、もう決めてきたから」

あずさは聞く耳を持たず、大輝は渋々あずさを送り出した。産後の1カ月を実家で過ごしたら帰って来る、という妻の言葉を信じて。

ところが、あずさが大輝と住む家へ戻って来たのは、産後4カ月を過ぎてから。母子ともに健康だったが、あずさはなにかと理由をつけて、実家に居座わる。

「恵太は俺たちの子どもだろ。週末だけ、あずさの実家で恵太の顔を『見せてもらいに行く』みたいな生活は、もう嫌だ。あずさも恵太も健康なのに、4カ月も帰って来ないなんて、いくらなんでも長過ぎるよ」

大輝にそうつめ寄られて、あずさはむくれ顔でようやく帰って来た。こうして始まった「家族水入らず」の生活だったが、初めから難航した。


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