2018年9月29日 21:00|ウーマンエキサイト

「私を愛して!」セックスレス夫に怒りをぶちまける「やりすぎ美魔女」モンスター【リアル・モンスターワイフ、再び 第31回】



■夫とセックスレス「露出多めの下着やナイトウエア」で迫ってみたものの…

「私を愛して!」セックスレス夫に怒りをぶちまける「やりすぎ美魔女」モンスター【リアル・モンスターワイフ、再び 第31回】

©beeboys- stock.adobe.com


そんなある日、いつものようにスマホでアンチエイジングの特集記事を読んでいた翔子は、衝撃的な見出しを目にする。

「いつまでも若い女性は、ベッドでもいつまでも現役!」
「女性ホルモンの分泌を促進する『若返りセックス』!」

翔子は動揺しつつ、記事を読み進める。

「いくら努力してスタイルやお肌のコンディションを維持しても、セックスから遠のいてしまった女性には、女性らしい艶や潤いが足りません。
ベッドでもいつまでも『現役』の女性は、セックスなしでは醸し出せない女らしさ、色気をまとっています。そんな女性は、いくつになっても魅力的。セックスによって女性ホルモンの分泌が促進されると、女性は心も体も若返ります。セックスこそ、最高のアンチエイジングなのです」

翔子は愕然とした。どんなに時間とお金をかけて努力しても、セックスなしじゃダメってこと? もしかして、「美魔女」たちがあんなに輝いてどこからどう見ても年齢不詳なのは、セックスの効果? セックスこそ、アンチエイジングの決定打ということか…。


そこまで考えて、翔子は思考停止におちいってしまった。

セックスって、私もうどれだけしてないのかしら。次男が生まれてから、ほとんどしていない気がする…ってことは、20年以上!? 希望通り2人の子どもを授かって以来、セックスについて考えたことなんてなかった。でも美魔女たちは、40代、50代になっても「してる」ってこと?

セックスがアンチエイジングの最終兵器になるというのなら、絶対に試してみなければ。「ラブラブ夫婦」への突破口も、ここから開けるかもしれない。翔子は夫をベッドに誘う決意をした。

金曜日の夜。それほど遅くなる前にベッドに入った翔子は、夫の背中に手を置いて話しかけた。


「ねえ、お父さん…」

「あ?」

正人の声はすでに眠そうで、話しかけられて迷惑そうな様子。

「あ、なんでもない」

翔子はあわてて手を引っ込める。あまりにも久しぶり過ぎて、どこからどう話を切り出していいか分からない。どうしたものかと策をめぐらせていると、1分もたたないうちに夫の寝息が聞こえてきた。翔子は仕方なく、自分も眠りにつくことにした。

翌日。翔子はスマホとにらめっこしながら、「夫をさりげなく誘う方法」をリサーチしていた。「愛され妻になるための方法」といったホームページやブログが、山のようにヒットする。


「完全なマンネリ夫婦で色っぽい雰囲気にならないのなら、ナイトウエアを工夫してムードを演出?」

ナイトウエアって、パジャマのことでしょ? パジャマなんて私、ショッピングモールの福袋に入ってたのをなにも考えずに着てたわ…。

その記事には、ツヤツヤしたサテンのネグリジェの写真が添えられている。

かわいい…でもこんなの、若い子向きでしょ。あ、このページから、オンラインショップにジャンプできるのね。今ならセール中で4,000円? 私の年齢じゃムリかと思ったけど、家で、しかも夜しか着ないんだからいいかしら。それに、うちのお父さんは鈍感だもの。これくらい思いきらないと、気づいてもらえないかもしれないわ。

結局、翔子はその日、「おうちでもオンナに手を抜かない」「寝姿もセクシーにかわいく」というキャッチコピーのパジャマやネグリジェを3着購入した。
すぐに購入した商品は届き、早速鏡の前で身に着けてみる。ダイエットの甲斐あって、体のラインがあらわになってももう見苦しいことはない。

お父さん、なんて言うかしら。翔子はドキドキしながら夜を待った。ところが…正人はネグリジェ姿の翔子をひと目見るなり、「なんだ、そりゃ」と眉をひそめた。

「ネットでね、セールになってたの。たまにはこういうのもいいかと思って…」

「いくら安くても、それはないだろ。そんなスースーした格好して、腹こわすぞ」

それだけ言うと、正人は翔子に背を向けて、いつも通りすぐに寝入ってしまった。
そして、残念ながら購入した残りの2着についても、夫の反応は翔子の期待を裏切るものばかりだった。

「一体なんのつもりだ。風邪ひくぞ」
「年を考えろよ」
「悪趣味だな」

翔子はすっかり気落ちしてしまった。いい雰囲気になるどころか、夫は冷たい言葉でダメ出しの連発。悲しいと同時に、夫に対して腹も立った。

一体どうすれば、このマンネリを打開して、20年ぶりのセックスにこぎつけることができるのか…そんな悩みを抱えてスマホにすがりつく翔子の目に、今度はこんな記事が飛び込んできた。

「抱かれる女性は下着にこだわる」
「エロかわいい大人ピンクで、男性をトリコに」

そのページで紹介されているのは、ふんだんな黒のフリルで飾られた、ショッキングピンクのシースルースリップだった。

女の私から見ても、すごくセクシー…。
こんな下着姿で迫られたら、男性なら誰でも心奪われるはず。気づいた時、翔子はすでに、そのスリップの「購入』ボタンを押していた。

今度こそイケるはず。この一着で、勝負を決める。翔子の意気込みにはすさまじいものがあった。

スリップが届いたその晩。翔子は早速これに身を包み、夫の布団に入っていった。正人の目は驚いたように見開かれている。
でも、ここで尻込みしちゃダメだ。今夜こそ、20年ぶりのセックスに持ち込む。翔子の決意は揺るがなかった。

「ねえ、お父さん。私、最近きれいになろうとすごく頑張ってるのよ。結婚してから今までずっとバタバタしてて、そんなこと言ってる余裕がなかったけど…。それでね、お父さん。お父さんともまた…」

「おいおい、一体なにがどうなってるんだよ!?」

翔子の言葉をさえぎって、正人がほとんどどなるようにして言った。

お前最近おかしいぞ。なにがあったんだよ。突然、濃い化粧なんか始めるし、髪型も派手になるし、服やアクセサリーだって年甲斐もなく…。それにその格好。一体なにがしたいんだよ。どうしたんだよ、一体!?」

翔子は絶句した。

あんまりだわ。確かに私はもう20代じゃない。美容からもファッションからも、長年遠ざかっていた。だけど、私がそんな人生を送ってきたのは誰のせい? お父さん、あなたのせいでもあるんじゃないの? 私だってお金持ちの家の奥さんだったら、もっと若い頃から美容やファッションに気をつかえたはず。もしかしたら今頃は、「美魔女」のようになれていたかもしれないのに…。

私はずっと、家計を支えるために働きっぱなしだった。仕事で忙しいあなたの分まで、男の子2人の相手も一手に引き受けた。元気いっぱいの息子2人と外をかけずり回ってできた、シミやシワ。スーパーで買ったお菓子をドカ食いするくらいしかストレス解消法がなかったせいで、ついてしまった脂肪。

これまでずっと、こんなにも家族に尽くしてきたのに。それなのに…あなたは私の気持ちなんて、これっぽっちも分かってくれないのね。きれいになりたい、女性として扱われたいという女心を、そうやって踏みにじるのね。

気づくと翔子は、不気味なくらい静かな声で夫に語りかけていた。

家政婦にオンナもきれいさも求めない、年相応に老け込んでいけばいいって言いたいのね」

「は? 家政婦? 誰もそんなこと言ってないだろ」

「お父さんのせいよ!」

突然激昂した翔子に、正人は固まった。

「若い時にやりたいこと、なんにもできなかったのはお父さんのせいよ! 私はお金も時間も、ちっとも好きなように使えなかった。夫婦仲良く、なんて言ってる余裕もなかった。だから今からでもって思ったのに、そうやって私のことバカにして…。私の若さを返して! 私の人生を返してよ! お父さんとなんてもう一緒にやっていけない。離婚してちょうだい!」


ピンクのシースルースリップ姿で、泣き叫ぶ翔子さん。彼女の胸は、張り裂けんばかりに傷ついています。一方、夫の正人さんも、妻の変貌と突然の大爆発に唖然。妻に恐怖すら覚えています。

長年良妻賢母として家族を支えてきた翔子さんを、「やりすぎ美魔女」モンスターと化すまで追いつめたものとは、一体なんだったのでしょう。
次回、チェックテストとともに解説していきます。


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