2018年10月27日 21:00|ウーマンエキサイト

夫はATMか精子バンクか? 子どもを溺愛しすぎてセックスレス…【リアル・モンスターワイフ、再び 第35回】

リアル・モンスターワイフ、再び

リアル・モンスターワイフ、再び

男女にまつわる数々のお悩みから、女性、とりわけ妻の中に“モンスター”を見出した「恋人・夫婦仲相談所」所長・三松真由美さん。その実態を明かした人気連載「モンスターワイフ」の続編「リアル・モンスターワイ…

夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。
夫はATMか精子バンクか? 子どもを溺愛しすぎてセックスレス…【リアル・モンスターワイフ、再び 第35回】

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「子どもが生まれたら、子ども中心の生活」。

それが大多数の夫婦の現実かも知れません。けれど、そんなライフスタイルが、夫婦仲にヒビを入れる可能性があることも忘れてはなりません。

自分の子どもがかわいいのは当然です。しかし、子どものことしか見えなくなり、夫との関係をおろそかにしていると…家族の基礎である夫婦仲が、確実にぜい弱化していきます。

夢中で子どもを追いかけ回しているうちに、気づけば夫を置いてけぼりにしていた…。夫との間に、決定的な亀裂が入っていた…。


今回ご紹介するのは、そんな亜由美さんのケースです。

■悲劇は妊活から始まった…“子どもが恋人”ママモンスター誕生

「今時モンスター 夫は邪魔者“子どもが恋人”ママ」代表:亜由美(仮名)38歳の場合

「はるくん! タマネギもちゃんと食べなきゃダメだぞ~」

大好物のナポリタンで口のまわりを真っ赤にした息子の陽翔(はると)に向かって、亜由美は言った。口では怒りながらも、亜由美の顔は満面の笑み。もうすぐ4歳になるひとり息子が、かわいくてかわいくて仕方がない。

郊外の住宅街。子ども部屋やリビングのみならず、ダイニングスペースまで亜由美が厳選したおもちゃであふれ返る家。水色のエプロンをした亜由美は、満ち足りた顔で愛情いっぱいのまなざしを陽翔に向けている。陽翔も甘えん坊特有の上目づかいで、亜由美の顔を見つめている。


絵に描いたような幸せな食卓…の片隅に亜由美の夫・敬二は、いつもの仏頂面で座っていた。

「あら、あなた、食べないの?」

敬二の手つかずのナポリタンを見て、亜由美は言った。

「あのさあ、何度言わせるんだよ。俺はケチャップ嫌いだって言ってるだろ。それに甘ったるいタマネギも。なのに昨日はオムライス、今日はナポリタンってこれ…」

さっきまで笑顔だった亜由美が、キッと鋭い視線を敬二に向ける。そして、そんな様子を息子には気取られまいと、視線とは裏腹の明るい声を上げて言った。

「やだ~、パパがそんなこと言ってちゃダメだよねぇ。
はるくんは、タマネギ食べれるでしょ? ほ~ら、パパに、お手本見せてあげて!」

妻の取ってつけたような高い声と笑顔に、敬二はうんざりして顔を背けた。

妻はいつもこうだ。息子のことしか考えていない。俺のことなんてどうでもいいと思っている…いや、そもそも夫のことなんて、なんにも考えていないのだ。

昔はこんなじゃなかった。俺たちだって昔は、仲の良い夫婦だったのだ。そう、妊活が始まるまでは…

もちろん息子はかわいい。
けれど、今の家庭の状況、夫婦関係を考えるにつけ、敬二は「こんなはずじゃなかった」という思いをぬぐい去ることができなかった。

■奥ゆかしかった妻が「排卵日セックス」要求

亜由美が大学生、敬二はすでに会社員として働いていた頃に2人は出会った。敬二の仲の良い同期の恋人が亜由美の大学の友人で、ダブルデートをすることになったのだ。

5歳も年下の、しかもまだ学生をしている女の子となにを話したらいいんだ? やたらキャピキャピした子が来たらどうしよう?と心配していた敬二。しかし、自分と同じ奥手で真面目過ぎるくらいの亜由美に、一瞬で好感を持った。

亜由美のほうも同じだった。それまでまともに男性と交際したことがなかった亜由美だが、誠実で頼りがいのあるお兄さんのような敬二に、どんどんひかれていった。

こうして、晴れて付き合い始めた2人。
交際は亜由美が中堅企業の一般職に就いてからも順調に進み、亜由美が27歳、敬二が32歳の時に結婚した。

亜由美は家庭的なタイプで、子どもも大好き。きっと理想的な妻になってくれるだろうと、敬二は幸せに浸っていた。そして実際、2人の結婚生活は楽しかった。

亜由美が30歳の時に、妊活を始めるまでは。

心から子どもを望んでいたのに、自分が妊娠しづらい体質であることが分かった亜由美。思うように妊活の成果が出ないとひどく落ち込んだり、感情的になることも増えていった。

彼女の穏やかで落ち着いた人柄を愛していた敬二にとって、これはつらかった。
けれど、もちろん妻の苦しみは理解できる。だから敬二は、懸命に妻のサポートを続けた。

ところが、亜由美の変化はそれだけではなかった。

妊活に取り組む夫婦にとって避けては通れない道とはいえ、敬二は亜由美の寝室での変貌ぶりに衝撃を受ける。奥手で恥ずかしがり屋で、奥ゆかしいところがたまらなくかわいらしかった亜由美が、堂々と排卵日セックスを要求。

そのうえ、ネットで見つけてきた「妊娠しやすい体位」を事細かに指示してくるわ、事後にも「妊娠しやすいから」と、いつまでも奇妙な姿勢を取っているわ…。

分かっている。妻は一生懸命なのだ。
必死なのだ。それは自分にだって、よく分かっている。頭ではよくよく分かっているのだ。

だから、敬二はなんとか、亜由美と同じだけの熱意をもって妊活に参加しようとした。それでも、なかなか気持ちが追いつかず、排卵日セックスをひどく億くうに思うようになっていった。

でも、これも今だけだ。ずっと続くわけじゃない。妊活さえ成功すれば、自分たちは元通りになれる。元のかわいい亜由美が戻ってきてくれるはずだ。

そう自分に言い聞かせて、敬二は耐えた。そして2人の努力がついに実り、亜由美は妊娠。これで妻も穏やかではにかみ屋で、いつも自分を頼って慕ってくれていた昔の妻に戻ってくれるはず…敬二はそう信じていた。

だが、事態は彼が望む方向へは進まなかった。妊活中、あれほどセックスを要求してきた亜由美が、妊娠後はセックスのセの字もなくなったのだ。


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