恋愛情報『体型に悩む私が、あえて「マーメイドドレス」を選んだ理由』

体型に悩む私が、あえて「マーメイドドレス」を選んだ理由

2018年7月13日 22:10
 

体型に悩む私が、あえて「マーメイドドレス」を選んだ理由

「いつ結婚をするか?」「いや、そもそも結婚をするか?」「というか、相手は!?」……そんな具体的なことは何も決まっていない。けれど、ウェディングドレスを見ると心が弾むし、女友だちのドレス姿は何度みたって飽きない。「ああいつか私もウェディングドレスを着てみたい」。そう願いながら、ウェディングベルが奏でる音を、今か今かと待ちわびている。

「細い人しか着られないでしょ」
「マーメイドドレスを着る勇気がない……」

上半身から膝までボディラインに沿って流れ、膝のあたりから急激にふわりと広がる。体型が気になる人にとっては、疎遠になりがちな「マーメイドドレス」。

実際には上半身をスッキリ見せてくれるので、体型をカバーしてくれるもの。足元とのバランスをとってくれるため、肩幅が広めの方にもオススメです。最近では、ボディラインが目立たない「ソフトマーメイド」というものも生まれてきています。気負わず“憧れ”を身にまとってみてください。

たとえばこんなシチュエーションで、こんな風に、こんなことを思いながら――。

***
「どうかな?」

そうカーテンを開けた瞬間の彼の顔が忘れられない。

今思い出しても、おかしくて笑ってしまうほどだ。ほんのわずかに口を開いて、写真を撮ろうと構えていた右手がだらんと下がって。正直、ノーマルなドレスも捨て難いと思っていたけれど、「似合う、似合いすぎるよ」と目を輝かせたその顔がうれしすぎて、その場で決めてしまった。彼の目に、私が一番美しく見えるならそれがいい。

「歩くのに、ほんの少しコツがいりますよ」

そう教えてくれたスタッフのまつげは、根元から先端までゆるやかにカールしていた。その曲線を見て、式までにはまつげエクステをJカールに変えようと思った。きっと、このドレスには流れるような切れ長の目がよく似合うから。

挙式は、ガーデンウェディング。緑に囲まれた結婚式でのマーメイドドレスは、さらに色っぽく仕上がるそう。ライムグリーンの中で凛と立つ花嫁が、まるで夢のように見えた。あんな風に、私も映るだろうか。

歩き方だって、練習した。膝のあたりにまとわりつくドレスで、つまずいてしまう人も少なくないと聞く。そんなわけにはいかない。

だってその日には、“あの人”もくるから。あの人とは、夫になる男性のことではなく、大学時代に憧れてやまなかった先輩だ。3つ年上の先輩は、当時やたらと大人びて見えた。

綺麗な横顔、長くて細い指。そしてゆっくりとしたまばたき。何度も食事に誘って、一度だけ遊園地デートもした。「なんだか、子どもみたいだね」。はしゃぐわたしの後ろ姿を見て、あの人はそう言った。ふわりと広がる膝丈のワンピースを着てきたことを、あのときひどく後悔したっけ。

閉園のアナウンスが鳴り響くなか、一度だけ指先が触れて、離そうとしたら引き寄せられた。「付き合ってください」という言葉は、最後まで出てこなかった。わたしもあの人も、お互いの気持ちの形を確かめることだけで精一杯で、一度触れてしまってからはどちらもが怖がっていたように思う。あれがどういう意味だったのかは、いまでもわからない

でも、わからなくて、よかった。その後出会った夫は、世界ではじめて涙が出るほど好きになれた人だから。

……なのに、結婚式の直前で、こんなことを思い出すなんて。

一人くすりと笑って、ゆっくりとまばたきをした。遊園地で見たあの人を思い浮かべて一度。そして過去を記憶の奥にしまいこむように、もう一度。

ゆっくりと視線をあげると、その先には世界で一番大好きな夫がいる。この人と、未来を歩んでいくのだ。

海の中をスイスイと進んでいくあの軽やかさを意識しながら、外へ出る。わたしよ、どうか光って。ドレスよ、過去と今と、そして大好きな人との未来のために光って。

ドレスの裾を、小さく蹴った。足元でたゆたう白い布が、水を跳ねる尾ひれのように踊った。

(文:夏生さえり、イラスト:後藤恵、構成:マイナビウーマン編集部)

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