恋愛情報『『サウダージ』が“私の”曲になるまで』

2020年3月31日 17:00

『サウダージ』が“私の”曲になるまで

歌詞に共感することは、彼らが作った曲の世界を踏み荒らすみたいで嫌だった。目覚ましのアラームに設定している音楽をだんだん嫌いになっていくみたいに、自分の生活に彼らの曲を引き寄せることで、特別な曲たちを傷つけてしまいたくなかった。

■“介助者”その言葉が隔てたもの

23歳、大学を出てライターのアルバイトを始めたばかりのころ、好きな人ができた。彼は同じ会社に勤めているカメラマンだった。

昼休み、彼はよく自分のカメラを持って会社の近所を散策していたから、私もたまにそれについていった。都内のビジネス街の真ん中に突如バグとして現れたみたいな、潰れかけのショッピングモールが私たちのお気に入り。目的もなくそのモールの中の100円ショップやらボタン屋やらを冷やかして、会社に戻るのが定番のルートだった。

一度、シャッターの降りた店の前に佇んでいた「たのしい運動会」という古いガチャガチャを二人で回したことがある。「お金がないから二人で一つだけ買おう」ということになって、玉入れや綱引き、徒競走のミニチュアの写真を見ながら、これかわいいね、これが出てほしいなと回したのだけど、出たのは「退場門」と書かれた白くて細い棒きれだった。

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