恋愛情報『『サウダージ』が“私の”曲になるまで』

2020年3月31日 17:00

『サウダージ』が“私の”曲になるまで

「ただの棒じゃん、最悪、全然楽しくねえ~」と涙が出るほど爆笑している彼を見て、あーこの人のこと好きだな、と思った。それで、どちらから好きと言ったのかは覚えていないけれど、私たちは付き合うことになった。

いろんなところにデートに行ったけれど、彼も私もとにかくお金がなかったから、多いのは公園だった。新宿御苑の芝生にブルーシートを敷いて、写真を撮ったりギターを弾いたり、それに合わせて歌ったりするのが好きだった。

彼は犬を見つけると、「あっ、ワンコロ」と言い、他のことそっちのけで犬にカメラを向けた。日が暮れてくるとカメラ屋を覗き、散歩して、屋台のラーメンを食べて帰る。無性に楽しくて、けれどこんな日常はずっとは続かないだろう、という予感だけが最初からあった。

メンタルの不調で彼の休職が決まり、私が彼の通院に付き添うようになったころから、私たちの関係は少しずつ変わっていった。

日中、仕事をしているとLINEがくる。気付かずに30分ほど放置していると、電話がかかってくる。慌てて会社の外からかけ直すと、電話に出た彼は一言目に必ず「ごめん、助けて」と言った。

躁と鬱を行き来する彼のことを、恋人としてできる限り支えたかった。

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