大学生の頃、初めて社会人の彼氏ができた。
すごく仕事のできる人で、楽しそうに仕事を語る姿が魅力的に見えた。彼の会社の広告や、関わったモノを街で見かけるたび、わたしまで誇らしい気持ちになった。
大学を卒業してからは、ますます尊敬の気持ちが増した。働き始めたわたしは、自分のあまりの仕事のできなさに絶望していた(今考えれば、その仕事が向いてなかったのもある)。そんな中、やりがいとやる気でガンガン仕事をこなす彼は素敵に見えた。
はじめは対等だった彼とわたしの力関係は、いつのまにか完全に彼が上になっていた。働き始めたわたしの自信がバキバキに折れていたのもあるし、「働き続けるの無理じゃない?結婚したい!!」という邪な気持ちもあって、めちゃくちゃ下手に出ていたのも原因だと思う。はじめはちゃんと話し合って決めていたようなことも、だんだん「彼が決め、わたしが同意する」が当たり前になっていた。
自分で考えなくても決めてもらえる楽さは、大体の人にも分かってもらえると思う。でも、その時のわたしはもっと上の、「決めつけられる心地よさ」にある意味酔っていたのだった。
■決めつけられる心地よさ
雑な例えだけれど、初めて会ったメンバーでランチに行くとする。
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