恋愛情報『西山繭子の「それでも恋がしたいんだ!」第九十八回目。』

2019年2月16日 18:00

西山繭子の「それでも恋がしたいんだ!」第九十八回目。

振り返ると、そこには可愛いらしいお嬢さんがおりまして「これ、違います?落としはったんじゃないかなって」と愛くるしい京都弁で、拾ったお札を青年に向かって差し出していました。突然のことに戸惑いながらも、彼はそのお札を「ありがとうございます」と受け取ったのですが、その時の彼の顔が、それまで私と一緒にいた時にはまったく見せなかった表情だったんですよね。可愛い女の子を前にした普通の男の子としての一面。しっかりしていて大人だと勝手に思っていたけれど、同世代の子と一緒にいる時の彼はこんな感じなのだろうなあ。彼よりだいぶ年上の私にはその顔は引き出せなかったなあ。そう思ったら、クラクフの凍てつく夜気のせいもあり鼻の奥がつんとなりました。

翌日、私は帰国の途に着くためタクシーで空港へ。雪がちらつくどこか物哀しい景色をぼんやりと眺めていた時のことです。
信号待ちで止まった車の目の前に突如現れたどデカイBon Joviの看板。それは7月に行われるワルシャワ公演のお知らせでした。じっとそれを見る私に、運転手のおっちゃんが「Bon Joviが好きなのか?」と尋ねてきました。「すごいファンではないけど、少し前に日本でコンサートがあったから行ったよ」

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