2016年10月14日 10:57
西山繭子の「それでも恋がしたいんだ!」第三十八回目。
「あなた、恋愛小説は書かないの?」
先日、伊集院静センセイと食事をした際に訊かれました。
「うーん、ここ最近は恋愛からとんと離れてて、この先もう二度と誰かを好きになったり、誰かに好きになられたりもなく死んでいくのかなと思うと、恋愛小説なんて書けないですよね」と答えると「あのさ、父親の前で、そういう悲しいこと言わないでもらえる?」とやんわり叱られました。
ちなみに父が描いた恋愛小説は一冊しか読んだことがありません。
何だか、こっ恥ずかしい。
もちろん小説でありますから、実体験のみを書くわけではありません。
とはいえ実際の恋愛で体験したことや感じたことは、どうしても影響するんですよね。
自著の短編集『色鉛筆専門店』に登場するいくつかの恋愛物語、男性のキャラクターはそれぞれまったく違いますが、書いていた時はどれも一人の人を思い浮かべながらキーボードを叩いていました。
その人とはもう連絡をとっていないので、私の本を読んだかはわかりません。
ただ三年間ほど一緒にいた中で、本を読んでいる姿は見たことがなかったなあ。
だからきっと読んでいないはず。
それなのに、驚くことにこれを読んだ別の男から「あれって俺のことだろ?」